哲学的日常報告

哲学的日常報告#26
ゆだる程の空論

しがみつく

– ある人 –

 

あるアーティストの息子が、4歳で死んだ。

悲しみを乗り越えるために、曲を書いた。

天国で会ったら、まだ父さんの名前を覚えててくれるかい?っていう曲

その曲はほとんどが妄想で、天国が本当にあるかなんて誰も知らない

 

それでもその曲に人が寄り添う

何年経っても、色褪せてしまっても

 

輝き続ける曲

大切なことを

教えてくれる曲

 

愛する人に渡す

贈り物を

何にしようか

考えるように

 

丁寧に

優しく

間違わないように

笑ってくれるように

大切に言葉を選んだ

 

過ごした時間

もっと続けって

思う前に

死んでしまった

 

伝えたいことは

後からやって来る。

 

今を大切にして

それでも

後から後から

やって来る。

 

最良の判断が

できたとしても

最高の結果に

なるかは分からない

 

独りになりたいと思ってた

だけどそうじゃなくて

癒しを求めてた

本能が教えてくれる

雑踏の中にはないこと

 

風の音

川の音

鹿の鳴き声

虫の羽音

枯葉が落ちる音

 

空気が透き通って

星達が

俺に

瞬きを許さない時間

肺に流れ込む冷気

 

その日は

突然やってきて

一瞬で全てを

作り変えてしまう

 

今を生きる人間にとって

今とは何なのだろうね

 

後にも先にも

進めないって

分かってる

 

後ろも前も

常に真っ暗だ

 

分からないけど

進むしかない

というより

勝手に進む時間

 

ここで立ち止まらせてくれなんて言葉は

無情に意味を為さないから

 

少しの寂しさと

ほんの少しの希望が

回る大地から

足に伝わって

 

今の君を

作り上げる

 

限られた時間の中で

限りない永遠を生きる

 

あるアーティストは

もし世界を変えられるなら

君の中で輝き続けたい

そう願った

 

永遠は

人の中にある

心の中だけが

永遠を作り出す

 

机上の空論だとしても

ゆだる程しがみついてやる

 

前後は闇でも

足元は明るい

そう信じている

 

今日の話はこれでおしまい

全ての人間が今を綱渡りしている

 

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