悩む雄の話
– 途方もないこと –
悩みを抱える男がいた。
彼は迷宮に迷い込んでいた。
男にも生理があるらしい。
彼は悩んでいた。
物事が上手くいかないらしい。
彼は器用と不器用の狭間にいた。
彼にはどうしても知りたいことあった。
なぜ、彼女を自分のものに出来ないのか。
彼女は言った。
あなたはエゴイストだ、と。
彼は思った。
そういう君こそエゴイストだと。
彼は求めていた。
「自由」という包容力を。
彼女は求めていた。
「疎通」という信頼を。
彼は彼女より年上だった。
たった2才。
彼は彼女を信じていた。
彼女は彼より年下だった。
ほんの2才。
彼女は彼を認めていた。
ある人は見ていた。
彼の言葉の強さを
ある人は聞いていた。
彼女が懐に収めた感情を
彼は遊んでいた。
誰のことも気にせず
彼女は耐えていた。
誰に何を言われようとも
ある人が言った。
あなたのように生きたいわ
ある人が言った。
君は優しすぎる。
ある女性は彼を許していた。
ある男性は彼女を愛していた。
彼は決して言わなかった。
君はエゴイストだ、と
彼女は言い切った。
あなたはエゴイストだ、と
彼は彼女に自由を求めていた。
彼女は彼に理解を求めていた。
彼は自由を得られなかった。
いくつかの犠牲を払った。
彼女は理解してもらえなかった。
いくつかの犠牲を払った。
ある人が言っていた。
あなたのように生きたい、と
ある人が言っていた。
君は優しすぎる、と
彼は盲目だった。
すぐ側の包容力に
彼女は盲目だった。
すぐ側の包容力に
二人は別々の道に進んだ。
寛大さを求めて
ある人は思った。
どうして私を選ばなかったの
ある人は思った。
どうして僕じゃなかったの
四人は別々の道を進んだ。
限りない不可能を辿って
10年経った。
彼はある人に会いに行った。
彼はその人に会えなかった。
彼女はある人に会いたかった。
彼女はその人に会えなかった
ある人は結婚した。
寛大な男性と
ある人は結婚した。
包容力のある女性と
今夜のお話はこれでおしまい
星よ、世界の誰かに幸福を
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